カフェ頼政道

「第81回 カフェ・頼政道」 4月6日

終了しました

「フィオリの会」


「フィオリの会」



11:30~13:00 
ランチ・喫茶タイム
13:00~14:00 
 

「フィオリの会」4度目のご来店
昨年の3月3日ひな祭りにご来店。
想い出せば、谷川俊太郎「じゅうにつき」、「方丈記」、星新一「ボッコちゃん」など様々なジャンルの作品を、最も感情が振幅するような声色で聴かせてくれました。
そして最後「青葉の笛」では、歳若き敦盛の首を斬った源氏直実の心の痛みと苦悩を、今里さんが時代を超えて代弁されました。
さて、今年はどんな作品と巡り合えるのか、楽しみです。作品に込められた魂を聴衆の前に再現できる今里さんは、俗にいうイタコ(市子)なのかもしれません。フィオリが語ると、作品の心が蘇ります。



フィオリの会 2014 4.6

今日は1年ぶりにフィオリの会の10人の方においでいただきました。いつもながらの多彩な作品をありがとうございます。登場順に紹介いたします。

1. つぶらなわたし 岸博美さん 作
日本点字制定120年記念エッセイ入選作品の点字をテーマにした詩を朗読していただきました。点字が世界の多くの人々に使われていることや点字の仕組みを詩の形で学ぶことが出来ました。

2. 銀色のおかぎ針 小川洋子さん 作
岡山から四国の高松に向かう車内の出来事、田園風景、トンネルをぬけたら突如現れた瀬戸大橋と海。そして前に座った編み物をする老婦人。それを見ている主人公が祖母のことを懐かしく思い出す。
『老婦人が「高松までですか?」話しかけてくる。「はい」、「祖母の13回忌の法要に」と私は答える。橋を渡りきると、もうすぐそこが高松だ』
小川洋子さんの短篇集「海」からの清々しい1編を朗読していただきました。透明感のある作品のイメージがよくでていましたね。

3. 母と娘の言いたい放題 中村メイコさん 作

4. 父の詫び状 向田邦子さん作
多くの方が朗読をされている名作に挑戦されました。わたしは森繁久彌さんのラジオ番組「重役読本」以来の向田さんのファンですので吸い込まれるように聞き入ってしまいました。聞きながら向田さんの友人が撮った向田さんのすてきなポートレートを思い出していました。

5. 最後だとわかっていたら ノーマ コーレット マレックさん 作
服部さんの声から伝わる言葉の響きがこの詩のテーマの大切さを伝えていました。この詩の多くのことを私たちに教えてくれます。そして服部さんのように一つ一つの言葉の大切を疎かにしないようにしたいと思いました。全文を掲載いたします。

あなたが眠りにつくのを見るのが
最後だとわかっていたら
わたしは もっとちゃんとカバーをかけて
神様にその魂を守ってくださるように
祈っただろう

あなたがドアを出て行くのを見るのが
最後だとわかっていたら
わたしは あなたを抱きしめて キスをして
そしてまたもう一度呼び寄せて
抱きしめただろう

あなたが喜びに満ちた声をあげるのを聞くのが
最後だとわかっていたら
わたしは その一部始終をビデオにとって
毎日繰り返し見ただろう

あなたは言わなくても
分かってくれていたかもしれないけれど
最後だとわかっていたら
一言だけでもいい・・・「あなたを愛してる」と
わたしは 伝えただろう

たしかにいつも明日はやってくる
でももしそれがわたしの勘違いで
今日で全てが終わるのだとしたら、
わたしは 今日
どんなにあなたを愛しているか 伝えたい

そして わたしたちは 忘れないようにしたい
若い人にも 年老いた人にも
明日は誰にも約束されていないのだということを
愛する人を抱きしめられるのは
今日が最後になるかもしれないことを

明日が来るのを待っているなら
今日でもいいはず
もし明日が来ないとしたら
あなたは今日を後悔するだろうから

微笑みや 抱擁や キスをするための
ほんのちょっとの時間を
どうして惜しんだのかと
忙しさを理由に
その人の最後の願いとなってしまったことを
どうして してあげられなかったのかと
だから 今日
あなたの大切な人たちを
しっかりと抱きしめよう
そして その人を愛していること
いつでも
いつまでも 大切な存在だということを
そっと伝えよう

「ごめんね」や「許してね」や
「ありがとう」や「気にしないで」を
伝える時を持とう そうすれば
もし明日が来ないとしても
あなたは今日を後悔しないだろうから

6. アプローズ 覚 和歌子さん 作
 素晴らしい物に拍手、喝采はもちろんのことでしょう。しかしこの作品は教えます、例えば「ご飯とおしんこだけの夕食」に拍手、「愚痴のこぼしには 見栄をはらない素直さに 」や「行かず後家の娘には その気高い誇りに」にも拍手しましょうと。勉強になる味わい深い朗読でした。

7. ちいちゃんのかげおくり あまんきみこさん 作
小学校3年生の教科書にも載っている作品、あまんきみこさんの作品はフィオリの会では2回目の登場です。
戦争の悲惨さをこのような童話の形で小さい子どもの頃に学ぶことは大切ですよね。繰り返して。

8. 森の美少年 司馬遼太郎さん作
聞きながら司馬遼太郎さんらしくない作品だなあ、と感じていました。それももっともで、この作品は司馬さんが32歳の頃の作品でまだ小説家としてデビューされる前の作品だそうです。ギリシャ神話のナルキソスを主人公にした作品です。今里さんの力強い声がカフェに響きました。

9. 夫婦生活あれから40年 綾小路きみまろさん作
夫婦生活や人生の悲哀をユーモラスに語る漫談から3人の掛け合いで朗読していただきました。生きていくのは大変で、生き続けていくのは悲しく辛い。(そんなバカな)

10 リンゴの唄 サトウハチローさん
並木路子・霧島昇が歌った戦後のヒット曲の歌詞を大きな紙に書いて頂いたのでみんなで合唱できました。いつも以上に大きな声で歌いました。

フィオリの会の皆さん、ありがとうございました。
来年も10人揃ってのご公演を楽しみにしています。よろしくおねがいいたします。